台南榕樹日記

ficusmicrocarpaは榕樹(ガジュマル)の学術名。台湾の古都、台南にある榕樹がシンボルの大学での語学留学の日々の記録。

12月12日 我到了桃園機場

21時頃、雪の花巻から桃園空港に到着。期待したほど暖かくない。温泉宿みたいな匂いに台湾に来たことを感じるけど、これから3ヶ月暮らすという実感がない。いつもの高揚感はないから、楽しいばかりじゃないという自覚だけはどこかであるのだろうか。

30万円を台湾ドルに両替し、Free WiFiのiTaiwanの登録をして、高速バスの乗り場のベンチで、セブンイレブンで買った台湾ビールを飲みながら、今書いている。早朝に台南に着くように、ここであと3時間ぐらい過ごさなくてはならない。

目にする中国語がすべて繁体字というのに安心する。中国語はNHKラジオの「まいにち中国語」で8ヶ月間独学で勉強してきたが、NHKは大陸の簡体字。半年間の1クールが終わったあと、辞書アプリ「萌典」でテキストを繁体字に直すという作業をしてきたから、漢字を見ると「これって繁体字は違うかも」と疑うクセがついてしまったのだ。簡体字ではいまいちピンと来なかった字が、繁体字に直すと「この字だったんだ」と腑に落ちることが何度もあった。「おじいさん」が、簡体字では「爷爷」が、繁体字では「爺爺」とか。繁体字は日本人に親和的なのだ。

機内放送や台湾人の乗客が話す中国語がところどころしか聴き取れないので、何を話しているか分からない。3ヶ月で分かるようになるだろうか。

メールをチェックすると、語学学校からクラス分けのお知らせ。メールで送ってもらったクラス分けテストが80門中8問ぐらいしかできなかったので、当然いちばん下のクラスだろうと思っていたのに、「B4」とあるのはたぶん下から2番目のクラス。去年留学した友達がBクラスで、いきなり全部中国語で最初死ぬほどたいへんだったと聞いていたから、唖然としてしまう。欧米人に優越感をもって勉強したいという目論見がはずれてしまった。

飛行機の中で、花巻空港売店で買った『童話集 風の又三郎』(岩波文庫)に入っていた「猫の事務所」を初めて読んだ。現代の会社でもよくありそうなイジメの話し。最後にいきなり出てくる、猫の事務所の解散を命じる獅子に同感する「ぼく」は、賢治自身のことだろうか。台湾では本屋めぐりが楽しみのひとつだが、賢治といういいきっかけがあった。台湾の本好きと賢治をとおして話す機会がもてたらうれしい。

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