台南榕樹日記

ficusmicrocarpaは榕樹(ガジュマル)の学術名。台湾の古都、台南にある榕樹がシンボルの大学での語学留学の日々の記録。

12月16日 越来越慣了

今日も早朝に目覚めてしまった。台湾と日本は1時間しか時差がないのに、桃園空港から台南に来るとき深夜バスに乗ったとき眠れなかったせいか、まだ体内時計が狂っている。

気温は初夏なのに、6時でもまだ暗い。ご飯を炊き、おにぎりと味噌汁で朝食。だいぶ上手く炊けるようになった。

宿題以外とくにすることもないのに、不思議と街に出かけるテンションにならない。出不精になるのもよくないし、買いたいものもあったので、宿題にメドがついたら、駅の反対側に初めて出かけることにする。

宿題は「あなたの家族は何人ですか?」「あなたの国で特別なものは何ですか?」「疲れたときリラックスするにはどうしてる?」など48の質問に答えるもの。最初の授業は、自己紹介もかねて、中国語のレベルを測る目的があるのだろう。かまえずに友だちといつも話しているような答えを考えた。

寮から美食街として有名な國華街は歩いて30分ぐらい。道すがら、台湾好きには有名な老舗の粽屋や洋菓子店があった。そういう店はやはりパッと目を惹く。意図したわけではないはずなのに、長い年月を重ねた洗練された、台湾らしい美しいデザインがある。

絶対に行きたかった場所がある。台南一の市場、永樂市場の2階にある隠れ屋のようなカフェ、秘氏珈琲だ。階段が見つからなかったので、市場で有機野菜を売る若い男子に、ジャガイモとタマネギを買ったあと尋ねると、地図を書いて中国語で教えてくれた。目印のお店の豆花が分からなかったら、スマホで検索して画面を見せてくれた。

秘氏珈琲にたどり着いたものの開店が14時。まだ2時間もある。市場をゆっくり見てまわった。観光で来ていたときとは、見方が違う。今は生活しているから。トマトとズッキーニを買った。

開店と同時に秘氏珈琲へ。レトロでキッチュなセンスがさすが。ドリップで丁寧に入れた珈琲は適度な苦味で喉越しがいい。水にこだわっているのか聞いてみたが、なかなか伝わらない。お互いに翻訳アプリを駆使して、ようやく伝わると、「特別に調合した水を使っている」そうだ。1杯200元(780円)。た、高い。もう、可愛い顔して。

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店主は香港人の青年。柔らかな物腰で繊細そう。

野菜もたくさん買ったし、疲れているから、タクシーで帰ろうと思っていたが、なぜか体が軽い。疲れたらタクシー拾えばいいや、と歩いていると、ふと気づいた。特別に調合された水で入れた珈琲のせいかもしれない。200元は高くないのかも。次に行ったとき、このことを中国語で伝えられるようにしよう。

帰る途中、日本でも有名なギャラリー、B.B.ARTで杉浦康益さんという日本人の陶芸家の個展をやっていたので、のぞいてみる。なかなかステキな展示だった。台南にはこうした先端の現代アートも共存しているのだ。ギャラリーのスタッフに「台南に住んでいるの?」と中国語で聞かれた。テンションの低さが観光客に見えなかったのだろう。

結局歩いて寮まで帰った。夕食は、玉ねぎだけのポテトサラダ、ネギの青い部分だけのネギ味噌、トマト、今朝の残りのおにぎり、そして台湾啤酒。限られた条件のもとでは、いつも捨てていたネギの青い部分だって活用しようと思うし、どうやって美味しく食べようか、調味料の配合にも細心の注意を払う。お米一粒だって残さない。3ヶ月で私はきっと料理の腕が鍛えられるはずだ。

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調味料だけはいいものを厳選してもってきた。

少しずつ、少しずつ街の人とコミュニケーションがとれるようになってきた。深くコミュニケートできるようになったとき、この街はどんな顔を見せてくれるだろうか。