台南榕樹日記

ficusmicrocarpaは榕樹(ガジュマル)の学術名。台湾の古都、台南にある榕樹がシンボルの大学での語学留学の日々の記録。

1月6日 去電影院看電影了

日中は半袖でも大丈夫なのに、日が暮れると急に肌寒くなる。服装が難しい。出身国によって体感温度が違うから、北欧の人たちはタンクトップなのに、台湾人はユニクロのダウンを着ていたりする(でも足元はサンダル)。

台南の公共自転車T Bikeを乗りこなせるようになって、行動範囲がグッと広がった。あれは使わないともったいない。市内の観光スポットや公共施設などの近くにステーションがあって、寮近くのステーションから目的地の近くのステーションに乗り捨てて、帰りはまた別のステーションから寮まで、というふうに使える。30分以内なら料金はタダ。地下鉄のない台南では、市民もよく使っている。この間は街で飲んだあとT Bikeで帰ってきた。

国に帰る人にゆずってもらったという自転車でバイクの大群と並走するHさんを見たとき、「私には無理!」と思ったけど、なんでもまずはやってみることが大事だ。ただ、台湾運転手に歩行者優先の概念はないので、そこを忘れてはいけない。

日本でチェックしていた本屋やカフェ、雑貨屋さんにはだいたい行けた。これで一安心。でも、ちょっと物足りなさも感じるようになった。『本の未来を探す旅 台北』で<田園城市>を経営するヴィンセントさんも評価していた<城南舊肆>や、日本でもファンの多い雑貨屋<蘑菇>が閉店していて、期待していたほどの知的な刺激が得られていないからだ。尖ったセレクションや洗練されたデザインの高品質高価格帯の商品は、台南ではあまり売れないのかもしれない。「刺激がほしいなら、台北か高雄じゃない」。長い人は口をそろえて言う。

昨日は、台湾南部出身のアン・リー監督が若い頃通っていたという映画館、全美戯院に「カメラを止めるな(一屍到底)」を観に行った。街中にある、60年の歴史をもつ台南一古い映画館だ。映画の看板がふつうに手書きなのがスゴい。

f:id:ficusmicrocarpa:20190106165729j:plain

向かいの通りで、看板職人のおじさんがスターの写真片手に看板を描いていた。

客席は200席ほど。急な階段には足元にライトもないから暗闇の中移動するのは一苦労。お客さんの入りは3割程度。子供連れがいて、この映画大丈夫かな、と思う。「カメラを止めるな」は日本で一度観ているが、役者さんがみんなハマっていて、2度目もやはり面白かった。ラストの人間ピラミッドのシーンではまた泣き笑いしてしまった。このシーンは台湾人にも受けていた。助監督の「ラスト15秒!」のカウントダウンを一緒にしてる人までいた。

料金は140元(約530円)。台湾人の感覚ではそう安くはないかもれしれないけど、観客の入れ替えもないから、1本の料金で2本観ても怒られなさそうで、気軽に入れそうだ。

台南では映画好きにとって、映画館で映画を観るということが、今も特別なことではなくて、つっかけで行けるような暮らしの近いところにあるのかもしれない。

尖ったセレクションもいいけど、こんな豊かさだってあるのだ。

f:id:ficusmicrocarpa:20190106165013j:plain

アクション映画や怪獣映画が多いのはたまたま?ぜんぜんスノッブじゃない。