台南榕樹日記

ficusmicrocarpaは榕樹(ガジュマル)の学術名。台湾の古都、台南にある榕樹がシンボルの大学での語学留学の日々の記録。

3月1日 今天搬家了

引っ越しをした。今新しい寮で書いている。

前の寮は大学に隣接する学生街にあって、電気コンロのある共同キッチン付きだった。寮費は少し高めだったけど、自炊をするつもりで選んだ。が、近くにスーパーがないし、11階の部屋から14階のキッチンまで調理道具一式をもってエレベーターで移動して料理するのがめんどくさくなり、結局あまり自炊をしなくなったので、高い寮費を払う意味がなくなったのだ。

来季も通うことにしたので、寮費を節約しようと思ったのがいちばんの理由。大学からは少し遠くなるけど、慣れたから大丈夫。ローカルなエリアにあるのも、台湾人のリアルな暮らしに近くなるようでうれしい。前の寮は快適だったけど、ホテルのようだったから。

スーツケースとセブンイレブンでもらった段ボールに荷物を詰め込んで、タクシーで移動しているとき、3ヶ月前の期待と緊張のまじった感覚を思い出した。

新しい寮には管理人のおじさんがいる。これもまたうれしい。おじさんは中国語しか話せないので、まだ十分にコミュニケーションがとれないけど、何かと気にかけてくれていることが伝わってくる。おじさんともっと仲良くなりたい。

部屋は西向きの1階。設備も古くて、机の隣がユニットバスという配置。東ヨーロッパの3つ星ホテルといった感じだ。日当りが悪くて昼間でも電気が必要だけど、これから暑くなるから、涼しくてオッケーと前向きにとらえることにしよう。前の寮にはなかったテレビがあるので、これから毎日ニュースを観て中国語の勉強ができるぞと、さっそく付けてみたら、殺人事件や交通事故のニュースばかりでげんなり。この3ヶ月は台湾の一面しか見ていなかったのかもしれない。

うれしいことはまだある。後甲黄昏市場が近くなったことだ。黄昏市場とは夕方から立つ市のことで、あちこちにあるらしい。果物や野菜、肉屋や魚の生鮮食品のほか、たくさんの小吃店や惣菜屋も店を出している。夕方に行くと、会社帰りらしいキャリアウーマンが夕食の買い物をしているのに出くわし、リアルな暮らしが垣間見える。

初めて行ったときから、活気があって、食べてみたいものがたくさんあるこの市場が大好きになり、前の寮からもT-Bikeで通っていた。試験中はいい気分転換になった。

揚げ出し豆腐やポテトサラダが並ぶ店があり、店主は日本人かと気になって、話しかけてみると、やはり仙台出身の方だった。ここでもう10年やっているそうだ。「最初はなかなか売れなくてね」と店主。台南人の好みに合わせて変えていったのだろう、ポテトサラダはかなり甘かった。味覚をとおして台南人の暮らしに入り込んでいったこの店主の人生もなかなか興味深い。この市場のことはまたあらためて書きたい。

市場で夕食を買って、新しい我が家に向かう初めての道を自転車で走っていたら、ずいぶん遠くまで来たなと感じた。また一から始まるのに、不安がないのは、この3ヶ月で少しタフになったからかもしれない。

明日は少し早起きをして、朝の街を歩いてみよう。